Messerschmitt Bf109E-3 ルーマニア王国空軍機




<実機について>

 第一次大戦で連合国側についたこともあって、基本的に英仏寄りの装備でやってきたルーマニア空軍。しかし1939年の戦役が始まると、現状の空軍ではこの世の中を渡っていけそうにない上、英仏は自前の空軍の強化に一杯々々。こないだまで戦闘機を売ってくれていたポーランドに至っては地上から消えちゃうし…。

 そんなわけで本腰を入れて空軍の強化に乗り出したルーマニアが紆余曲折の末に辿り着いた答えは、今をときめくルフトヴァッフェの主力Bf109でした。それは軍事的な判断であると同時に、チェコやポーランド、バルト3国の運命を目の当たりにしたうえでの政治的な決断でもあったでしょう。とにかくご近所の大国が、傘下に入らないと何をされるかわからないドイツと、傘下に入っても何をされるかわからないソヴィエト連邦ですから、選択の余地もあんまりなかったような気がしますが…。

 1939年暮れに発注された機体の内、11機が40年の春に到着。翌41年の春には残りの39機も到着して新設の第7戦闘機群に配備されます。しかしバルバロッサ作戦に始まる41年の東部戦線で失われた機体も多く、42年春には更に15機のBf109E-7の供与を受けて夏季攻勢に臨みますが、ソ連赤軍の反抗によりスターリングラード包囲環の中で8機が失われるなど損失も嵩んでいきます。

 翌43年、第7戦闘機群が再び前線に出るころには装備は新鋭G型に改変されており、残っていたE型は黒海沿岸の防空を担当する52戦闘機隊に回されました。恐らくその後の米軍を相手とする本土防空戦でも多くが失われたと思われますが、作例の黄色の11番のようになんとか大戦を生き抜き、戦後も練習機などに用いられた機体もありました。といっても46年中には全機が退役しているようではありますが。

Messerschmitt Bf109E-3
寸法諸元9.87×8.80×3.43m(W×L×H) 全備重量2,803kg
主機DB601A(離昇1,175HP) 最大速度555km/h (5,000m)
初飛行1939(E型) 最大航続距離660km
武装MG17(7.92mm)機銃×2、MG/FF(20mm)機銃×2


<キットについて>

 もうあっちこっちからキットの出ているBf109Eですが、定番と言えばやはりタミヤのキット。E-3とE-4/7の二種類のバリエーションが出ています。形状についても、組みやすさについてももう文句なし。できればE-1とかそれ以前の型も出してくれると尚言うことないんですが…。敢えて難を言うなら、尾翼支柱の付け根周りの処理と、あと排気管周りの分割をもう少し工夫してくれると、塗装しやすくなったかなとは思います。


<製 作>

 そんなわけで、素組しても良かったんですが、なんとなく出来心でAIRES製のレジンコックピットを使用。これもお手軽に組み込めるのでお勧めですが、コックピット内をRLM66でまんま塗ってしまうと外からはほとんど見えません。嘘でもよいからちょっとメリハリを付けて塗ったほうが良かったかも。

 塗装は上面RLM71、下面RLM65の単色塗装。エミールを使っていたころはそれなりにきっちり塗ってあったようなので、普通にべた塗りしています。デカールは、A modelの“Bf109E-3 Rumanian Aces”なるキット*1)に付いているものを使うつもりで手に入れて来たんですが、これが結構ずれまくり。で、アルプスプリンタで自作しようとすると今度は黄色が薄すぎて塗装したところと全く色が合わない罠。イエローのリボンを単色で打つと色が薄すぎ&明るすぎだし、マゼンダを混ぜようとすると今度は結構モロ分かりなドットが表面に出てしまうもので…。

 結局、国籍マークはA modelのデカールからカラー部分のみを切り抜いて使用。白縁の部分はそれにサイズをあわせてアルプスプリンタで自作しました。部隊マークのアヒル(というかまぁ某社のキャラクターのもろパクりなんですが…)なんかもA modelのものです。しかし、ルーマニア空軍用の別売りデカールは、何故Hs129とかHe111とかの微妙な機体ばかり*2)で、こいつとかグスタフとかのメジャーな機体用はまったく出ていないのかと…。

*1)因みにA modelのキットのほうは、まぁそれなりではあるんですが、全体にモールドがだるくて、なんかタミヤのキットを一度シンナーにどぶ漬けして引き上げてきたような感じ。正直、タミヤが出回っている国では存在価値がないのでは…。国籍マークが2種類入っていたりするのでデカールを奪うには良いんですが。E-3と銘打っていますが、3機分のデカールのうち、2機はE-7だったりもします。
*2)あと、Aeromaster DecalsからHe112用が出ていましたが、国籍標識は参戦前のラウンデルタイプのものだったりします。



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