空技廠 E14Y1 零式小型水上偵察機11型




<実機について>

 太平洋戦争当時、日本の工業技術が主敵たる英米に比べてさまざまな点で劣っていたことは遺憾ながら認めざるをえませんが、一方で彼等が投げ出してしまった技術を必死で実現した例も少なからずあります。

それはつまり、単に努力の突っ込みどころを間違っただけじゃないのか

という指摘もないではないですが、少なくともその分野においては卓越した技術と真摯な努力を示したわけで、その結果を後知恵で知っているからといって我々がとやかく言えるものではありますまい。

 そんな中の一つが潜水艦から運用する偵察機で、とにかく狭苦しい潜水艦の船体に収容できて、限られた浮上時間で発進できる小型で高性能の機体という無体な要求に応える水上偵察機を作り出し、実際に運用してしまったのは日本海軍だけでした。零式小型水偵は渡辺鉄工所(後の九州飛行機)が開発した複葉の96式小型水上偵察機の後継として、空技廠(当時は横廠?)の指導のもとに矢張り渡辺鉄工所が主体で開発されています。

 尤も、機体の性格上それほど派手な活躍はありません。私自身も中学生の頃に仲間に「日本の潜水艦って飛行機積んでるやん。あれって何?」と訊かれて

そらお前、零式三座水偵に決まっとるやろ。

と即答した苦い記憶があります。唯一の例外としては、1942年9月には史上唯一の米本土空襲となるオレゴン州の山林への空襲を成功させています…って派手とは言わんな、これも。


空技廠 E14Y1 零式小型水上偵察機11型
寸法諸元11.0×8.54×m(W×L×H) 全備重量1,450kg
主機日立 天風12型 (340HP) 最大速度246km/h
初飛行 最大航続距離882km
武装92式(留式)7.7mm旋回機銃×1


<キットについて>

 90年代末にフジミ模型からリリースされた一連の旧海軍水上機シリーズの一つですが、端的に言って

傑作です。ええ。

パーツの合いもよく簡単に組めますし、端正な羽布張り表現(零観、98夜偵等でも同様の表現でしたが、その上に分割線が来るパーツ割のために全く無意味でした。動翼の端に分割線を持って来てくれれば良いのに…。)やシャープなモールドも好感が持てます。

 難を言えばイボ付きカウリングなのに前後分割になっていること、しかもキットの回転機構を尊重すればプロペラ装備後でないとカウリングの前後を接着できないことでしょうか。また、私的には無意味に場所を取るカタパルトよりも牽引台車をつけて欲しかった気がします。

 定価2,200円は些か微妙な価格設定ですが、機種自体があまりメジャーではないこと、あまり数を作って並べたくなるような機種でもないことから、あまり数は期待出来ないと判断したのでしょう。

ま、ブルジョワの趣味だからな、模型は。

とか呟きながらお布施するのが上策かと思われます。その後「米本土空襲機」と銘打ったパッケージも出ましたが、中身は殆ど同じで唯一インストに「米本土空襲をやらかした機体はよく判んないけど、日の丸の白縁と機番を塗りつぶしてたみたいだよ。(←大意)」と解説があるだけだったので、あんまり販促効果はなかっただろうなぁと思います。


<製 作>

 素組で簡単に組めます。もう何の問題もありません。唯一プロペラだけは真鍮パイプの組み合わせでカウリング組立て後に差し込むようにしました。

 塗装もまんまインストに従っています。モデルアート別冊の“日本海軍水上偵察機”でも同様の記述なのですが、Mushroom Model Magazines Special "Japanese Submarine Aircraft"ではカウリングを黒、垂直安定板の機体番号を白縁の赤、フロートの赤帯の後ろの2本の白帯の間を黒塗装、フロート後方の2本の赤帯を黒帯としているなど若干の違いがあります。他の点はともかく、確かに他の機体を見ていると台車搭載位置のガイドラインは黒または白にしているようなので、"Japanese Submarine Aircraft"の記述にも一理あると思えます。

 例によって日の丸と主翼前縁の味方識別標識、主翼上面の白線(ウォークウェイ?)を塗装にして、機体下面はグンゼの明灰白色(35)をそのまま、上面もグンゼの濃緑色(15)をそのままです。



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