Brewstar B-239 (F2A) フィンランド空軍機




 ブリュースターF2Aは1935年に米国海軍が提示した艦上戦闘機の要求に対して提案された機体です。老舗グラマンが旧態依然な複葉機などを提案している隙に、新興メーカーのブリュースターが全金属単葉機で受注を掻っ攫った形になります。とは言え新興にして、後に“生涯成績4打席3三振1四球”と揶揄されることになるブリュースターに艦上戦闘機を任せきってしまうのも不安だったのか、はたまた他に

大人の事情でもあったのか、

グラマン社案の単葉型への改良も継続され、これがF4F Wildcatとして採用されるとF2Aは些か性能面で見劣りするようになります。

 そんなこんなでちょっとずつ配備の始まっていた1939年のこと、ソ連邦の侵攻によってソ・フィン戦争が勃発すると欧米諸国からは小国フィンランドに同情的な声が高まり、こぞっていらなくなった…もとい、当面供与が可能な航空機を援助しました。アメリカからB-239の形式名で供与されたその実F2Aの初期モデル*1)44機は、結局ソ・フィン戦争には間に合わなかったものの、その後フィンランド空軍の主力となりおおせ、1941年に始まった対ソヴィエト戦役では15機の損耗と引き換えに400機以上のソ連機を撃墜する活躍を見せ、“空の真珠”とまで重宝されます。まぁソ連空軍の錬度の低さもあったんでしょうが、一説によるとF2Aは特に低空の旋回性に優れており、ソ連機に対して零戦的な優位を持っていたのではないかとも言われます。主敵たるドイツ空軍と方向性が異なったためにソ連があまり組織的に対策を講じてこなかったこともあったのかも知れません。

 当然、一芸に秀でたものがその一芸で負けると甚だ辛いわけで、そう考えると太平洋戦争初期に零戦や一式戦にボコられたのも何となく納得できます。いや、それ以前に古いんですが。同機は本国、フィンランドの他にイギリス、オランダ領東インドなどでも使用されました。

*1)…そのものではなく、主機がサイクロンR-1820-34からR-1820-G5へグレードダウンされていたり、装備品などがUSNの標準装備品から変更になったりしています。


Brewstar B-239
寸法諸元10.67×8.03×3.68m(W×L×H) 最大重量3,247kg
主機ライトR-1280-G5 (775HP@4200m) 最大速度517km/h(5,000m)
初飛行 最大航続距離1,553km
武装Browning Cal.50 (12.7mm) M2機銃×4


<キットについて>

 小国フィンランドが2度に渡ってソ連の大軍をしのぎきったという背景や、戦闘機隊の英雄的な活躍、個性的なエースの群像、独自の迷彩塗装と印象的な国籍標識…などなどの魅力からフィンランド空軍といえば小国空軍のなかでも最も人気の高いものの一つと思われます。そんなマニアの気持ちを汲んでか、ハセガワ1/72のF2Aキットには通常のアメリカ海軍型に加え、フィンランド空軍がちゃんとキット化されています。パーツの差し替えにより機首形状の異なる初期型が再現され、ご当地フィンランドのInscale72製のデカールもついています。

 割と最近のキットなんで、モールドを含めて表面仕上げも綺麗だし、パーツもきっちり合います。スタイルは全然気にならなかったんですが、どこかで読んだ話ではカウリングの2丁の機銃の間が平坦になっているのは間違いで、カウリングの曲面上に2つの機銃がそれぞれ突き出した形になるんだとか。


<製作&塗粧>

 上にも書いたように、問題なくちゃっちゃと作れる良いキットです。どうして

完成まで足掛け4年も掛かってしまったのか、

自分でも全くわかりません。特に問題はありませんが、脚の取り付け部のみはかなりはめ合いがきついので、無理やりねじ込もうとして折ったりしないでちょっと削ってやりましょう。また、小さい機体の割に全高は結構あるので、アンテナ支柱をつけると箱に入らなくなるのは覚えておいても良いかと思います。

 キットの塗装例はフィンランド軍の標準迷彩で、戦中までの鍵十字と戦後のラウンデルが両方入っています。どうせならMS406でやったように、塗装例に輸入時塗色のものと冬季迷彩も入れてくれると嬉しいんですが。インストでは上面の濃緑色はグリーンFS34102(303)の単色、下面はグレーFS26440(325)の単色になっていますが、ここでは他社キット(確かセクター1/48のFiat G50)のインストなんかを参考に上面をグリーンFS34102(303)80%+カーキグリーン(54)20%にしてみました。機首と後部胴体の帯、翼端下面の黄色もRLM04(329)60%+黄色(4)40%とかにしています。

上面の迷彩は、雑誌なんかの作例を見ると黒ではなく黒に近いダークグリーンを使うケースが多いようですが、コントラストが強いほうが模型映えするんではないかと黒(2)をそのまま吹きました。結果、ちょっと玩具っぽくなってしまった気もします。


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