Heinkel He112B-2 ルーマニア王国空軍




<実機について>

 ハインケルHe112はドイツ空軍の主力Bf109とのコンペに敗れた機体として(マニアには)名高い戦闘機。どうもエルネスト・ハインケル先生がナチスに嫌われていたせいで…とかいう論調で語られることも多いんですが、実機を見るとなんか某ハリケーン並みに分厚い主翼とか、どうも新世代の戦闘機っぽく見えないのも事実。やたら長い胴体とやたら大きい尾翼の組み合わせも微妙で、縦の安定性が過大だった可能性もあるんじゃないかと…。

コンペには普通に敗けたんじゃなかろうか

とかいう思いがふつふつと沸いて参ります。レイ・デントン先生も「戦闘機」の中で

この時期にこれは、ちょっと微妙なんちゃう?(←意訳)

と仰っていますし。

 それでもせっかく作ったのを無碍にするのも気が引けたのか、周辺諸国のためにはこんなもんでいいやと思ったのか、He112はスペイン、ハンガリー、ルーマニア等に供与され、特にルーマニアでは一個戦闘機群を編成するほどの数を揃えています。

 同国のHe112は第51、52飛行隊からなる第5戦闘機群を構成して41年6月からの対ソ戦に突入し、緒戦ではそれなりの戦果を挙げますが、旧式化なども祟って割りと早々に前線から姿を消していき、同年4月には残るHe112は第51飛行隊に統合されて黒海沿岸の防空任務につき、第52飛行隊はI.A.R.80に転換してしまいます。なんか、敵国製で部品の入らないハリケーン並みに影が薄いんじゃ…。43年の初めには第51飛行隊もBf110に転換し、残ったHe112は高等練習機などとして用いられたようです。

Heinkel He112B-2
寸法諸元9.09×9.22×3.82m(W×L×H) 全備重量2,248kg
主機 Junkers Jumo 210Ga (公称700HP) 最大速度510km/h (alt.4,000m)
初飛行1936年6月(試作一号機) 最大航続距離1,150km
武装MG17(7.92mm)機銃×2、MG/FF(20mm)機銃×2


<キットについて>

 2003年にチェコのRSモデルから発売になった簡易インジェクションキット。簡易にしては出来の良いほうだとは思うんですが、単排気管と集合排気管のコンパチにしたために機首側面のパネルが別パーツになっており、ここの合いが悪いのが製作上かなり辛いところ。何故かエンジン架などもパーツ化されていますが、肝心のエンジン部が微妙なモールドなのであまり意味無し。もうちょっと力の入れどころが別にあったんじゃないかと思います。どことは言いませんが、上記の機首側面とか妙にだるい脚庫とか…。

 B-0、B-1、B-2の三種類のパッケージが出ていて、本国の他ハンガリー、ルーマニア、日本、スペイン(フランコ派)と一通りの使用国が網羅されています。ただデカールは印刷ずれも多いようなので、出来れば店頭での確認がお奨め。

まぁ現状ベストキットと言えばそうなんでしょうが、実態は、

エレールとガチで比べたら、そらまぁこっちの方がちっとはええかも知れんなぁ。

という割と微妙な評価かも。2005年にはレジンパーツ入りのグレードアップ版も発売になっています。割と売れたのかも。


<製 作>

 基本的にシートベルトとピトー管を追加しただけの素組み。ただ単排気管のパーツは余りにも溶けているので、今にして思えばMoskitかなんかに置き換えたほうが良かった気がします。というか、Moskitもここは食い込みドコロと踏んだのか“He112-B用”というそのものずばりの製品を出しています。

 簡易にしては翼後縁のパーツなど薄く仕上がっているので、そのまま組んでも問題なさそう。但しどういうわけか垂直安定板の後縁だけは気合の入った分厚さなので、ここは削り込んでやる必要があります。あと気になるのはイモ付けになる水平安定板の取り付けくらい。今回は胴体の貼り合わせ前に取り付けて内側から通し穴を開け、瞬着を塗りたくった真鍮線を突っ込んで固定しています。

 塗装はSquadron本に載っていた側面図が何となく銀色っぽく見えたので、迷うことなく銀塗装。実はライトグレイであったらしいことが判明したときには手遅れでした。しかし、ルーマニア人が塗ったらダークグリーンにするだろうし、ドイツ人が塗ったらRLM02だろうしで、Squadron本にあるような青みがかかった相当に明るいグレイにはならないような…。この辺り、銀色があった可能性も捨てきれないでいます。基本塗装はGSIクレオスのスーパーシャインシルバー。メリハリを強くつけるために、アクセスパネルや動翼にはアルクラッドIIのMagneciumや、タミヤエナメルのフラットアルミなど、結構トーンの懸け離れた銀を使っています。

 デカールは、付属のデカールに印刷ずれがあったのと、ミハイ十字の青線の部分が点線になっているタイプにしたかったので、自作。しかし、エミールのところでも書いたように、アルプスプリンタで網目が出ないようにしようとすると、どうしても黄色が薄くなってしまうのは悩ましいところ。塗装でやるしかないのかなぁ…。


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