Henschel Hs129B-2 ルーマニア王国空軍




<実機について>

 1937年に設計開始された小型の襲撃機。本機については東部戦線で“缶キリ”とまで呼ばれた印象が強いせいか、

東部戦線で露助の戦車を上からしばくために作られた

とか思いっきり限定している解説まで見受けますが、1937年にそこまで戦車戦の様相が判っていた筈も無く、要は当時流行の軽爆/直協機だったんじゃないでしょうか。この手の機体はフィアリー・バトルなんかのように悲惨な末路を辿るか、キ51のようにひたすら地味かのどっちかが主流なんですが、この機体は単座にして機体を極力小さくする、低空攻撃に備えて防弾を手厚くするといった方針が時流にあっていたこともあって生き残り、一線機にあまり使わない低出力エンジンを使っていることや対戦車砲のプラットフォームとして使えることなどから重宝されたというところなんではないかと思っています。

 ルーマニアのHs129は全てB-2型のようで、1943年から最終的には200機以上が引き渡されたと言います。ほぼ全機が第8襲撃航空群に配属され、8月に初出撃。以後ソヴィエト地上部隊を相手に時には日に4回の出撃を記録するほどの奮闘をみせます。44年8月に連合側に陣営を変えたあとは流石に稼動機数の減少から1飛行隊規模に縮小されますが、それでも終戦に至るまで第一線で活動しました。WorldWar2.roの記述では、「戦争を通じて、他のどの航空機よりも多くの地上将兵を、確実に訪れるであろう死から救い上げた。(←意訳)*1)」と最大級の賛辞が贈られています。

Henschel Hs129B-2
寸法諸元14.20×9.75×3.25m(W×L×H) 全備重量5,250kg
主機Gnome Rhone 14M (離昇850HP)×2 最大速度425km/h (alt.4,000m)
初飛行1939年2月 最大航続距離880km
武装MG15(7.92mm)機銃×2、MG151/20(20mm)機銃×2、爆装1,000lb

*1)This is the airplane which probably saved more Romanian ground troops from certain death than any other in ARR service throughout the entire war.


<キットについて>

 それほどメジャーではない機体ながら、1/72では天下のタミヤ模型からキットが!…と思うと実はイタレリのOEMだったりします。それほど変なキットじゃないんですが、ちょっと弛めのモールドや微妙に梨地の表面処理に萎える人は萎えそう。カウリング周りの形状もちょっと…。

 も一つ私的に不満なのは50mm砲装備の機体しか作れないこと。75mm砲までは兎も角、胴体用の爆弾架くらいは欲しかった気がします。主翼も爆弾架があって爆装が一切ついていないあたりにちょっと片手落ち感。まぁ付いていたらいたで、

やっぱ塗るのが面倒

とか言って爆弾架しかつけなかったりするんで、余りとやかくいう資格も無いんですが。本家イタレリからはそれなりにバリエーションも出ているようですが、どんな装備のものが出ているのかは未調査です。はい。


<製 作>

 最近ちょっとだけコックピットに凝る傾向があり、今回もPavla modelから出ているレジン&エッチング製ディティールアップキットを使用。どうも微妙に力の入れどころが外れている感じで、私的にはあまり精密感が増した気もしないんですが、上で文句をつけている胴体用の爆弾架が入っていることに気付いて取り合えづは満足。しかし、エッチングが異様に堅くて全く曲げられない罠。結局爆弾架本体は1.0×1.0mmのプラ角棒を寸法を合わせて切り出し、取り付け金具のみエッチングのものを使いました。自重変形タイヤも入っているけど、ホイール部のモールドが微妙で結局使う気になれず。更に問題なのはこの微妙なディティールアップキットを何故か間違えて2つ買ってしまったこと…。

 他は基本的に素組み。機体表面の梨地はペーパー掛けが面倒なので、とりあえづサフの厚吹きで誤魔化すことにしています。微妙に梨地っぽさが残ってしまったのはご愛嬌。

 塗装は上面RLM70/71、下面RLM65の迷彩。どの色もクレオスの特色をビン生です。ドイツ機を見慣れていないので何とも言えませんが、70と71の色相はもう少し近くても良いような印象があります。実は初めてのスプリッタ迷彩は、デカールのインストを実寸にコピーして切り出した型紙を使用。両端だけをぴんと張って止めて、塗り分け線では微妙に浮き上がる感じにすると、直線的ながら塗り分けの段差もできない感じに仕上がってまずは満足というところです。

 デカールはCutting Edge社の“Hs129B”。この機体の他にルフトヴァッフェの3機が収録されています。発色、馴染みとも良好でお奨め。但し元々柔らかめの上にソフターが良く効くので、クレオスのセッターなど使うときは注意が必要。また表面に光沢があるのでクリア掛けも必要かと思います。垂直安定板の髑髏マークが、反対舷で同じなのか鏡像になるのかがわからなかったと見えて、両方入っているのも好印象*2)

*2)ちなみに本作では鏡像としていますが、特に確たる根拠があってのことではなく、同じものを貼ろうとして失敗した結果だったりします。で、上述のソフターが良く効くので注意なんていうコメントがそこから生まれると…。



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