中島 NC 九一式戦闘機

1/72 AZ models


<実機について>

 それまでニューポール29を細々とライセンス生産していた陸軍航空隊が“ウチも自前の戦闘機を作るんやっ!”と一念発起したのは昭和2年のこと。11月には競争試作の発注が三菱、中島、川崎の3社に出されます。ただまぁ如何せんどこの会社も初めてのことですから、設計をおこなったのは基本的に海外から招聘した技師。中島の社内名称NC機を設計したのもニューポール社からやってきたマリーでした。

 まぁそれでも経験の浅さは如何ともし難かったか、翌年6月に始まった飛行審査で三菱、川崎機は相次いで脱落。中島NCも爾後の改修を条件に何とか合格ということになったものの、翌4年には急降下試験中に主翼が脱落するなどの大事故が発生。川崎はフォークト先生の新設計戦闘機(これが後に九二戦に結実するわけですが…)で巻き返しを掛けるわ、当の中島内部でも

この際、ブリストル・ブルドッグで誤魔化しとくか

みたいな話はでるわでえらいことになります。

 それでも中島知久平の押しの強さもあってか九一戦の改修は継続され、支柱の改修や安定板の増積などを経て昭和6年には何とか正式採用。直接の戦闘参加こそないものの、同年勃発した満州事変にも出動しています。エンジンを中島“寿”に換装したII型を含めて、最終的に444機が生産され、特に実戦に参加することもないまま九五戦と交替する形で退役しています。うち一機の胴体は今も所沢航空記念館に保存されており、往時の航空機の貴重な資料となっています。一部は中国の山西空軍に輸出されたりもしていますが、これもうやむやのうちに失われてしまったとか…。


中島 NC 九一式戦闘機I型
寸法諸元11.0×7.30×2.79m(W×L×H) 全備重量1,500kg
主機中島“ジュピター” (公称500HP) 最大速度320km/h(alt. 2,400m)
初飛行昭和3年 5月 最大航続距離700km
武装八九式7.7mm機銃×2


<キットについて>

 AZ modelsというメーカーは2006年にいきなりBreda Ba27Mというどマイナーなアイテムで彗星のごとく現れたわけなんですが、実はその正体は以前からイタリア機を中心にレジンキットを作っていて、2年ほど前からインジェクションにも進出してきたLegatoというメーカーだったりします。ホームページもAZ modelsで検索すると本当に女性のモデルさんが多数登録されてるサイトが出てきてしまったり、思わず中もチェックしてしまったりするわけですが、実は本物(というかプラモデルのほう)はLegatokits.czのまんまで存在していたりもします。

 キットは全面に梨地がかっている感じでモールドもややだるめですが、コックピットを始め、色んなところにエッチングやレジンパーツを投入して、成型技術が至らない部分をうまく補っている感じではあります。形状は良い感じですが、良く見ると水平安定板が恐ろしく分厚かったりと気になるところもちらほら。また所詮は簡易インジェクションですから、部品の端面の形状がいい加減で、結果支柱の類を組む際はたぶんに現物合わせが必要になります。とにかく組み上げるだけなら割と手の掛からないキットではありますが、正確に作ろうとすると結構大変かも知れません。

 パッケージはI型が2種類(陸軍航空隊と中国山西空軍)とII型があり、プラパーツは共通ですが、前2者はデカールのみが異なっていてII型のほうはレジンパーツなども差し替えられています。


<製 作>

 とりあえず胴体を組むところまでは何の問題もなし。エッチングパーツなどのお陰でコックピットはそのままでも1/72ならば充分以上の密度があります。垂直、水平安定板は何れもイモ付けになってしまうので例によって真鍮線で補強します。問題は主翼や脚周りの取り付け。上にも書いたように支柱の長さは(それほど極端ではないにしろ)微妙に違っていますし、端面も変に斜めになっていたりするのでそのままでは接着面が確保できなかったりします。とにかくアラインメントを見ながら、接着面を出すように削っていく感じになりますが、最後は面倒になって端面がうまく合わないところに強引に瞬間接着剤を盛り付けたりしています。

 エンジン周りはレジンですが、台座から切り出した面がそのまま機首との結合面になるのでちゃんと切り出さないと機体とのアラインメントが揃いません。それなりにすり合わせはしたつもりだったんですが、後からエンジンのシリンダと後方にある筈のフェアリングの位置が豪快にずれていて愕然としました。まぁ付けてしまったものは仕方ないので頬被りを決め込んでいます。

 陸軍機の基本塗装は塗装はこのころ既に灰緑色になっている筈なんですが、所沢に現存する胴体はかなり青みがかった灰色をしており、ちょっと悩ましいところ。まぁ例によって

困った時は玉虫色

ということで、GSIクレオスの灰緑色(128)にRLM02を同程度の明度になるまでホワイトで伸ばしたものを1:1くらいで混ぜ合わせ、緑味を大分減らしています。好みでかなり明るい色調に振っていますが、ちょっとやりすぎたかも知れません。

 国籍標識や文字などは全てデカールでしたが、これがすぐに皺になったり、ちゃんと貼ったと思っていても後から皺になりながら剥がれてきたりというとんでもない代物で泣きました。セッターの代わりに水で溶いた木工用ボンドを使っても同じなので、ソフターの影響でもなさそう。このメーカーのキットはおいしいマーキングも多いので改善して欲しいところなんですが…。結局フォントが特殊な“愛國”の文字以外はKトレのインクジェット用デカールで自作しました。これも初めて使うアイテム以南ですが、使用感は割りと良さげ。ただ、水につけた時にインクが流れないように事前にクリアコートしないといけない関係で、デカールの剛性が上がって表面に馴染みにくいのがちょっと辛いところではあります。といってクリアコートを薄くしようとすると遮蔽が不十分で次から次にインクが滲んできたりしますし…。



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