PZL P.37B  ルーマニア王国空軍

1/72 Cooparativa




<実機について>

 P.Z.L.ことポーランド国営航空機工廠が38年に世に送り出した本格的双発爆撃機。まぁ実機についてはここで半可通な解説を繰り広げるよりも、せっかく復活した“河馬之巣”のここをご覧になっていただくのが良いでしょう。というかこれだけ詳細に解説してあると、私がつけ加えることは何もございません。

 設計着手は1934年ですから、まぁSB-2やBlenheim、Do17辺りをを嚆矢とする“戦闘機より速い爆撃機”世代にあたる機体でもあり、実際曲線的な主翼平面形や流線型にまとまった側面形などいかにも空力に気を遣った感じ。実際これら同世代の機体と比べても性能的には遜色ないものがあります。惜しむらくはまぁこの世代の機体が軒並みそのまんまではWWIIの過酷な航空戦には通用しなかったことで、この機体が39年戦役で戦局にあまり寄与できなかったのもむべなるかなというところではあります。構想だけなら主機をハーキュリーズに強化する案もあったとかで、そんなことができればどんな進化を遂げていたのか、ちょっと興味深いところではあるんですが…。

PZL P.37 Los
寸法諸元17.93×12.92×5.08m(W×L×H) 全備重量8,560kg
主機Bristol Pegasus XX (公称925HP) 最大速度412km/h
初飛行 最大航続距離1,750km
武装wz.37 7.92mm機銃×3、爆装2,580kg


<キットについて>

 キットはCooparativaとなっていますが、恐らくはMikroやPlastykなどのメーカーから出ていたのと同じもの。年季の入ったキットだけあって鮮やかな水色のモールドカラーやカウル前縁のコレクタリングと一体成型のエンジンなんかに一瞬たじろぎますが、実際組んで見ると変形などもなく合いも良好。ディティールを追加すればいまどきのキットにも見劣りしないんではないかと思います。

 パッケージも何種類かあるようではあるんですが、とりあえずCooparativaのものは単尾翼、双尾翼両方のバージョンを製作可能。デカールもポーランド、ルーマニア両方のものが付いてきます。


<製 作>

 上記の通り年季の入ったキットですが、コックピットその他の中身はそれなりに充実しています。シートベルトを追加し、プラ板の細切りで作った謎の計器や予備弾倉なんかで適当にごちゃごちゃさせてやると結構良い感じに。クリアパーツの透明度はそれなりですが、素通しになる後部銃座からは結構中が良く見えたりするので要注意です。

 モールドはちょっとよれた凸で些か見栄えがしないため、珍しく気合を入れて全面彫りなおしてみました。安定板は外側が金属で内側が羽布張りというよく判らない構造で、写真でも内側にはリブがはっきり見えているんですが、キットでは黙殺状態。結構目立つところなので、エバーグリーンのプラ材を貼り付けてペーパーで整え、(かなり適当に)再現してみました。内翼の爆弾倉も凸モールドでしかないため、扉の形に切ったプラペーパーを貼り付けてみましたが、流石にちょっとごつすぎたかもしれません。

 ポーランド空軍の機体は上記の通り自国製のwz.37機銃を装備していますが、ルーマニアで使用された時はVickers class Kに換装されていたという説もあり。(←でも例によって出典不明。)追求しだすときりがないので、後部銃座は何事もなかったかのようにFinemoldのメタル製ルイスでごまかしています。

 ルーマニアで使われた機体の塗装は基本earth brownとolive greenの2色迷彩のよう。ルーマニアで全面リペイントされている前提で、Potez 633の時と同様、

Earth Brown:RLM79サンドイエロー(C119)50%+イエロー(C4)30%+ニュートラルグレイ(C13)20%
Green:RLM80グリーン(C120)

としてみました。もしかしたら地の茶色はポーランドで塗られたカーキ色かもしれません。下面もリペイント前提にRLM65をそのまま塗っています。結構写真が残っているものの上からの写真は手に入らず、結果主翼上面などの迷彩パターンは殆ど推定に頼ることになってしまいました。胴体についても同じ機体を左右から撮った写真が見当たらず、異なる個体の左右の迷彩を強引に繋いだような形で推定しているため、特に右側面については全く自信がないというのが正直なところ。

まぁそんなもんですよねぇ。

 ルーマニア仕様のデカールはキットにも付いているんですが、今回は奮発してTechmodの“PZL-37A/B Los”を奢ってみました。因みにデカールのインストでは上面塗装は全面ポーランド機と同じカーキ単色になっております。亡命直後の姿ということなのかこの塗装のままだった個体なのかはわかりませんが、とりあえず機体番号はデカールオリジナルの個体とは違うものにしてみました。


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