世界のホーカー・ハリケーン
- Hawker Hurricane World Wide -



 フィンランド空軍についての知識を少しばかり齧って自分でも作ってみたいと思っていた数年前のこと、フィンランド空軍のハリケーン用のデカールを探していてAeromaster DecalsのForeign Hurricanesというデカールセットを見つけました。
「ふーん、結構いろんな国のがあるんやなぁ。ハリケーンやったらハセガワのが楽に作れそうやし、このデカール分くらい揃えてみたら面白そうやし、それだけ作れば工作技術も少しは上がるやろうし、ちょっとやってみようかなぁ。」

 勿論、その当時はそれが冥府魔道の入り口であろうとは知る由もなかったのであります。

<実機について>

 ホーカー・ハリケーンは英空軍の要求仕様F36/34に応えて、サー・シドニー・カムの設計した機体。試作機の初飛行は1935年、量産第一ロットの発注が翌年6月ということなんで、我が96艦戦と殆ど同期という事になります。

 実質的にイギリス空軍最初の単葉戦闘機であり、時速480km/h(300マイル)の壁を最初に突破した戦闘機、大戦初期の主力にしてBattle of Britainの立役者とどう見ても歴史的な名機なんですが、今ひとつ影が薄いのは、胴体の後半が旧態依然の鋼管羽布張り構造であるとか(Mk.Iの極初期型は主翼も羽布張り)、やたら主翼が分厚いとか、そーゆーのを含めて

とにかく見てくれ全般がいまひとつ不細工

とか、スーパーマリン・スピットファイアという

同期のライバルにスタイルでも成績でも負けてる

とか、

極東の某国に捕獲された挙句にダメ飛行機呼ばわりされた*)

とかそーいった事情によるのでしょう。それでもスピットファイアの影で淡々と働き、ハセガワ1/72のインストに「第二次世界大戦が始まるとハリケーンは旧式化してしまいましたが」と身も蓋もないことをすっぱり書かれながらも英国の空を守り抜いたあたり、

名球会で唯一負け越しの梶本隆男**)か、クラウンライター時代の東尾修か

といった役どころではないでしょうか。

 ウリは厚翼が可能にしたといわれる重武装で、かの「世界の駄っ作機」の序文でもポール・ビーヴァー氏が「7.7mm×2挺の隼I型の5年も前に我々はハリケーンに7.7mm×8挺を装備しておったのじゃ。」とか誇らしげに書かれてるんですが、でもビルマ戦線ではその隼に負けてたような気もします。それも発動機強化のII型が。

 初期の機体は固定ピッチの二肢プロペラを装備し、主翼も羽布張りでしたが、主翼は早々に金属翼に改められ、プロペラもデ・ハビランド二段可変ピッチペラを経てロートル定速三肢プロペラを装備するようになります。エンジンをマーリンXX型に換装したII型では武装等によりIIa、IIb、IIc、IIdのバリエーションがあり、その後主翼を強化したIV型に続き、エンジンを強化したV型の試作も行われています。

*)本機をテストした陸軍の酒本少佐によれば、本当に不細工な飛行機で、縦安定が非常に悪く、機首がぶれるので乗りにくいとの評価だった。(「日本軍鹵獲機秘録」光人社)
**)梶本 隆男: S29〜48阪急/通算254勝255敗


<キットについて>

…と、いうわけで、現在割りと楽に手に入る(SWORDとかOMEGAのは微妙ですが…)ハリケーンのキット。リンクの張ってあるものについては、そこから独断と偏見に基づくキット評に飛ぶことが出来ます。評価は5段階で極めて適当につけています。というか主観入りまくりなのであまり当てにしないでください。

 何だかんだ言って選択肢はそれほどありません。SWORD (AZ models)、OMEGAやレベルのシーハリケーンは「これをつくるならこれしかない」という奴ですし、Mk.Iなら楽に作れるのはハセガワのみ。「AirFixが一番良く形を捉えておるのじゃ」という意見も聞きますが、きれいに組むのはちょっと大変かも。

 悩みがいのあるのはMk.IIくらい。個人的には最近はレベルが気に入っていますが、主翼周りを組む時に注意が必要なこと、風防、プロペラブレード、トロピカルフィルタなど微妙なところでハセガワに負けていることなどが難と言えば難です。

AirFixMk.I後期とMk.IIbのコンパチ
Mk.I後期
Revel Mk.IIB、Mk.IIC/trop、Sea Hurricane Mk.IIC
ハセガワ Mk.I後期、Mk.IIB、Mk.IIC、Mk.IID
Heller / SMERMk.IIC、(Mk.IV)
アカデミーMk.IIC
SWORDMk.I初期型
AZ modelsMk.I初期型
OMEGAMk.II改練習機等



--- CONTENTS ---

Mk.IIc/ユーゴスラビア国家解放軍
Mk.IIc / Yugosrav NOVJ
Mk.IIc/インド空軍
Mk.IIc / Indian Air Force
02.07.20掲載 02.07.20掲載
Mk.IIb/自由フランス空軍
Mk.IIb / Free French Air Force
Mk.I/夜間戦闘機
Mk.I / Night Fighter
02.07.20掲載 02.07.20掲載
Mk.I/ルーマニア王国空軍
Mk.I / Royal Rumanian Air Force
Mk.I/アイルランド空軍
Mk.I / Irish Air Force
02.07.20掲載 02.07.20掲載
Mk.IIc/トルコ空軍
Mk.IIc / Turkey Air Force
Mk.IIc/ポルトガル陸軍航空隊
Mk.IIc / Portuguese Army Aviation
02.07.20掲載 02.07.20掲載
Mk.IIb/旧日本陸軍
Mk.IIb / Imperial Japanese Army
Mk.IIb (sea)/英国海軍
Mk.IIb (sea) / Royal Navy
02.08.20掲載 03.07.19掲載
Mk.IIb/ソヴィエト赤軍
Mk.IIb / Russian Red Army
Mk.IId/ソヴィエト赤軍
Mk.IId / Russian Red Army
05.12.31掲載 06.05.10掲載
Mk.I/ユーゴスラビア王国空軍
Mk.I / Yugoslav air force
09.06.21掲載

工廠トップページに戻る