三菱 キ46-II 百式司令部偵察機II型
<実機について>
97式司令部偵察機の有用性に鑑み、陸軍は昭和12年末に三菱に高速司令部偵察機の試作を命じました。これが昭和15年に正式採用され、百式司令部偵察機I型となります。
II型は主機をより出力の高いハ102に換装したもので、空冷エンジンの限界とも言われていた600km/hの壁を日本ではじめて突破するなど好性能を示し、太平洋戦争全般にわたって活躍しました。
バリエーションとしてはI型、II型のほかに主機を換装したIII型、IV型、II型から派生した改造練習機、III型から派生した防空戦闘機型などがあります。
三菱 キ46-II 百式司令部偵察機II型 |
寸法諸元 | 14.7×11.0×3.8m(W×L×H) | |
全備重量 | 5,050kg |
主機 | 三菱 ハ102型 (離昇1,080HP)×2 | |
最大速度 | 604km/h |
武装 | 7.7mm旋回銃×1 | |
最大航続距離 | 2,474km |
初飛行 | 昭和14年11月(I型) | |
<キットについて>
レベル、有井(旧LS)などのキットがありますが、最新のものは2000年に長谷川製作所から新金型でリリースされたものです。このキット、モールドや表面処理は流石ハセガワというものの、普通に組むと主翼の後縁に大きな隙間が出来たり、主翼下面と後部胴体の間で大きな段差ができるなど、パーツの合いに結構な問題があるものでした。まぁその頃の日本製キットにしてはということではあるのですが、なまじガイドピンによって部品相互の位置がきっちり決まるだけに、そこで段差や隙間が出来ることにはかなり凹んだものです。
とはいえ、細部の形状や繊細なモールド、シャープに整形されたクリアパーツなど、やはりこれを見たらアリイのキット(これはこれで良いキットなのですが)には戻れないと思いますし、パーツの合いは
模型の神様が与えたもうた試練
と割り切って、全バリエーションの制覇を目指して量産しましょう。因みにバリエーションとしてはIII型のほか、限定品でIII型改防空戦(正式にはIII型乙+丙ですね。)とII型改練習機、デカール換えで海軍航空隊版などが出ています。旧エルエスのラインナップと同じですね。
<製 作>
そんなわけで、何も考えずに普通に組んだのですが、主翼の後縁は何も考えずに貼りあわせたら、思いっきりな隙間が出来て泣きました。パテを詰め込んで上下から削ったりして何とかしたのですが、後縁が異様に厚ぼったくなってしまっています。接着前に裏側から削り込んでおいて、接着時にテープでしっかりおさえてやると良いかと思います。主翼下面と後部胴体の間の段差段差もエポパテで埋めましたが、やはり主翼下面と後部胴体までを一本の曲線にするのは難しいです。あと特に手を加えたのはコックピットのシートベルトとピトー管の金属化くらいです。
<塗 粧>
キットには“空駆ける虎”のマークで有名な独立飛行18中隊の機体も灰緑色単色で入っていますが、個人的に雲形迷彩が好きなのと、手元に旧エルエスのキットがあって、迷彩塗装機用のデカール(虎マークが一回り小さい)があったことから、三色迷彩の機体にしました。塗色については機体下面をグンゼの特色128番、上面についてはハセガワ1/72の呑龍のインストを参考に、黄褐色を、茶褐色をとし、濃緑色は三菱機ということでグンゼの124番を使いました。
二型改造練習機については独立18戦隊からの機体ということで、インストでは上面暗褐色、下面灰緑色(128)のベタ塗りで、垂直安定板に独立18戦隊の部隊標識が付く事になっています。この機体は写真が残っており“世傑”にも掲載されていますが、それを見ると尾翼の部隊標識は殆ど見えないほどに塗り潰されていること、カウリングの部分で色が変わっていることなどが分かります。また、17戦隊の機体は独特の赤土色で塗装されていたり、日の丸の周囲に防空戦隊標識と同じ白帯を巻いていたりといった特徴があり、これを部分的にレタッチしたような表現も良いかなとは思ったのですが、汚しもしていない機体で下手にレタッチの表現だけするのもなんかなという思いから、単純に上面暗褐色ベタ塗りで戦隊標識は付けないことにしました。但し折角の練習機型なので、下面は橙色にしてみました。
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