川崎 キ60 試作戦闘機
1/72 RS models
<実機について>
キ27の旋回性に気を良くして軽戦闘機至上主義にどっぷり浸かってしまった…ということに巷ではなっている感もある帝国陸軍。とはいえ現実にはキ44のような高翼面荷重の機体も開発していますし、そこまで盲目的ではなかった…というか
世界の趨勢に普通に引き摺られていたんじゃなかろうか
という感もあります。まぁその為に
戦闘機より速い高速爆撃機
とか
高速・大火力の双発戦闘機
とかいった妄想にも付き合わされている感はなくもないですが…。とまれ、そんなわけで盟邦にして世界一ィィィィッの技術を誇るドイツから貰った新鋭発動機DB601を用いた戦闘機計画も重戦闘機キ60と軽戦闘機キ61の二本立てでいくことになっております。
試作1号機は太平洋に暗雲立ち込める昭和16年3月に完成し、都合3機の試作機が作られます。同年6月におこなわれたキ44やBf109Eとの比較審査でキ44に旋回性が劣るために落選し、そのまま開発中止。でもって「ほら、やっぱり格闘性能至上主義じゃん。」という話になっていたりするのが常ではありますが、最近の研究では中止になったというよりはキ61に発展的に統合されたというのが実情のよう。確かに、あれだけ主翼幅が増して翼面荷重を減らしたキ61に速度で負けてるわけですから、
発展する余地は多分にあったんじゃないか
という気はします。ラジエータ周りとか…。
因みに本機の武装は12.7mm×2+20mm×2と言われていますが、この時点では20mmホ5はおろか12.7mmのホ103も完成していない筈で、実際に何を搭載していたのか良く判りません。主翼にものごっついバルジがあるところを見ると、キ45改と同じホ3辺りを気合で積み込む予定だったのかも。いずれにせよ、有名な試作機が並んだ写真を始め、手持ちの写真では一様に主翼には機銃孔すらみられず、結局翼にはなにも積まず仕舞いだったのかも知れません。最大速度もその状態での計測だとするとキ61との実質的な差は更に拡がるわけで、まぁ不採用も止むなしだったのかも。
川崎 キ60
寸法諸元
9.78×8.40×2.75m(W×L×H)
全備重量
2,750kg
主機
Dimlar Benz DB601E (公称1,100HP)
最大速度
560km/h
初飛行
昭和16年3月
最大航続距離
武装
<キットについて>
キ60といえばそもそもが3機の試作で終わってしまった機体だけに、かつてはインジェクションキットなど望むべくも無く、ただ選ばれし者のみがキ61からの大改造(いや、正直どこがどう使えるのかさっぱりわかったもんじゃないんですが)で作れるようなアイテムでした。それがまぁ(それなりに)出来の良いインジェクションで誰にでも作れるというんですから良い時代になったもんです。
相変わらずコックピット周りはエデュアルド製のカラーエッチング付き。前作あたりからキャノピーも高品質のインジェクションが付くようになり、益々作り易くなっています。パッケージとしては“Prototype”と“Home Defence”の2種類。前者は試作1号機と50戦隊風のマーキング、後者は20戦隊と47戦隊のマーキングが入っています。ki61と同系列のこの機体で244戦隊を外したのは意外ですが、そこまで日本機のことに詳しくないのか、はたまた後からまたデカール替えバージョンを出すつもりなのか…。
<製 作>
簡易インジェクションでありながら、合いも良好で何のストレスも無く組める好キット。特筆すべき点は翼後縁の削りこみとイモ付け水平安定板の補強くらいです。プロペラは真鍮パイプの組み合わせで後から取り付けられるようにしたんですが、軸線を出すのに微妙に失敗。端面を削ってごまかしてあります。
諸説ある機内色ですが、最新の考証と言える学研本の記述などから灰藍色に決めて、適当に調合してみました。あんまり青っぽいのもちょっと違和感が…と弱気になって少し灰色に振った結果
ただの灰色になってしまった
のはご愛嬌。第三風防の内部は暗色に見える写真があることと防眩色ではないかという学研本の指摘から、黒藍色と思しき色にしています。ただ、内部の桁やら特徴的な軽め孔なんかがわかりづらくなってしまうので、おとなしく灰藍色や灰緑色にしてしまったほうが良かったかも知れません。
塗装はアルクラッドIIを使用。少し暗めに仕上げたかった(←特に根拠はナシ)のでDark Alminumを基調に塗り分けています。マーキングは何も考えずに試作1号機。日の丸と赤帯は塗装で仕上げたので、今回はキットのデカールは使わずじまい。“フムナ”、“サハルナ”の文字はちょっと字体が微妙だったんで、“サハルナ”だけFinemoldsの飛燕から奪ってきました。他に謎の小さい赤の星印を機体各所に貼るようになっているんですが、写真ではそれらしいものは見当たらないので省略。これって荷重試験供試体につける変位計測のためのマーキングを誤解したんじゃないかと思うんですが…。
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