川崎 キ61-II 三式戦闘機 飛燕II型改




<実機について>

 ドイツから輸入したDB601液冷エンジンをライセンス生産した「ハ-40」を搭載した三式戦「飛燕」は、高速度と高い機動性を兼ね備えた優秀な戦闘機でしたが、しかしどうもその精妙複雑な液冷エンジン故の故障率の高さ、生産性の低さが問題でした。しかし、だからといって現に戦局が左前である以上、性能よりも整備性、製造性優先とは単純に行かないのが世の常というもので、結果、飛燕のII型はハ-40を更に強化したハ-140を搭載し、主翼も新設計することとなります。

 紆余曲折の結果、結局主翼はI型と同じものを使用したII型改がデビューしますが、ハ-140の信頼性の低さ、製造の難しさは当初の想定をはるかに越えるものがあり、結果、エンジンのない「首ナシ機体」だけが工場脇の国道沿いにずらりと並ぶと言う壮絶な惨状から、結局は主機を空冷式のハ-112に換装した五式戦へと繋がっていくことになります。

 そんなわけで、II型改を使用した実戦部隊は56戦隊くらいであると言われており、涙滴型風防の後期型ならば写真も残っています。また審査部航空隊も本機を以って迎撃戦に参加しており、そこで使用された17号機と思われる機体は米軍厚木基地に展示されていました。現在では日本に返還されて、ちょっといいかげんな再塗粧に辟易しつつも(←想像)鹿児島の知覧特攻平和会館に佇んでいます。


川崎 キ61-II 三式戦闘機 飛燕II型改
寸法諸元12.0×9.16×3.7m(W×L×H) 全備重量3,825kg
主機川崎 ハ140型 (離昇1,500HP) 最大速度610km/h(6000m)
初飛行昭和19年4月(II型) 最大航続距離1,600km
武装20mm機関砲×2、12.7mm機銃×2


<キットについて>

 ファインモールド社の飛燕II型改は、もともとハセガワ1/72のI型丁の改造パーツとして必要な部品だけのパッケージで販売されていたものらしいのですが、1999年夏に主翼等のパーツを追加して完全版になった五式戦に続き、2001年夏には完全版の飛燕II型改が発売されました。

 キットの表面仕上げなどは、同社烈風のそれに近い感じで私的には好感が持てます。同機を運用した数少ない実戦部隊である56戦隊のマークも付いています。塗装例は推定ですが。


<製 作>

 コックピットのシートベルトとピトー管の金属化以外はストレートです。特に問題なく組めるキットですが、唯一の問題として、スピナーの軸がちょっと偏心しているようで、機首とスピナーがきちんと面一になってくれません。一度軸を切り飛ばして真鍮線などで再生したほうが良いと思います…やってませんが。

 エッチングは五式戦で使わなかったのが余っていたのですが、今回も使いませんでした。いやだって、脚カバー薄いし。


<塗 粧>

 そんなわけで、知覧に現存する審査部航空隊の17号機です。現在は灰緑色の上に濃緑色の斑迷彩にレタッチされていますが、当時は全面銀塗装であったようで、インストの指示もそうなっています。

 インストでは舵面も銀色になっていますが、当時の写真を見る限り異なる色調に見えたので、グンゼの灰緑色(128)にしています。ジュラルミンとアルミドープでもそれなりに色調は違うでしょうし、単なる艶の違い(尤も羽布張り部分もドープを塗って磨くので艶々だという話もあるのですが。)かも知れません。あと、主翼の12.7mm銃孔の赤い星マークもついていなかったようです。


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