Hawker Hurricane Mk.I ルーマニア王国空軍


<実機について>

 色々な国に輸出されているハリケーンですが、デビューが第二次大戦前の世界が思いっきりきな臭くなっている時期なので、初期の購入国はいずれも思うように数を揃えられずに苦労しているようです。ルーマニアもご多分に漏れず、思い切って50機のハリケーンを発注したものの、開戦の影響もあり実際に到着したのは全12機、因みにシリアルで言うとL2077、L2078、L2085、L2093〜L2097、L2104、L2112〜L2114であったいうことです。

 Hawker Hurricane - Defender of the Empire -などによると、Mk.Iの初期ロットはL1547〜L2146で前の430機が羽布張り翼、残りの170機が金属翼で完成とのことのなので、全機が最初から金属翼装備機ということになります。しかし、1941年のユーゴスラビア侵攻に参加した際に同国のハリケーンを鹵獲しているため、羽布張り主翼も無かったとは言い切れないのがややこしいところ。まぁ見方によっては

どっちのキットでもオッケー。

とも言えます。(そうか?)

 枢軸側に立って参戦した後は全機が53戦闘機中隊に配属されます。ユーゴ侵攻時に鹵獲された機体も恐らく同様でしょう。ハリケーン隊もバルバロッサ作戦期には相応の戦果を挙げており、ルーマニア空軍のトップエースであるコンスタンティン・カンタクジノ大尉も初期の戦果はハリケーンで挙げています。同部隊は後にプロエシュチ油田の防空戦に従事していますが、その頃にはほぼBf109Gで代替されているようですので、同機が導入される1943年夏期辺りまでに逐次退役(または喪失)していったのではないかと思います。同じ英国製のブレニムがやはり戦闘喪失や部品の欠乏などから43年にはほぼ現役を退いている(それでも輸送・連絡用としては終戦まで少数機が稼動していますが)のと軌を一にするのではないかと思っています。


<キットについて>

 例によってハセガワ1/72のMk.Iです。ルーマニア空軍が購入した機体はシリアルから判断すると全て金属翼機なのでその点はハセガワのキットで問題ないのですが、プロペラはキットに入っているロートル定速型ではなく、その前の型のデ・ハビランド可変ピッチ型のようです。(っつーか、手持ちの写真で見る限りはいずれもデ・ハビランド型装備になっています。)

 幸いハセガワ1/72限定版でフィンランド空軍版が出ており、このキットにはデ・ハビランド型プロペラが同梱されています…

って、まんまMk.IIのジャブロ・ロートルペラのパーツやんかっ。

まぁ割とよく似た形だから良いのかな。一応Mk.IIのジャブロ・ロートルペラはデ・ハビランドペラよりも径が大きいので先端を丸めるついでにちょっとだけ短くしてみると良いのでしょう。しかも、プロペラブレードはパーツ割の関係で4本セットになっていますから、ここで開き直ってしまえば

Mk.IIを3機作る毎にデ・ハビランドペラが一式

そろうことになります。フィンランド空軍版はここ数年見ないので、こっちに期待するのがいいかも。

 また、デ・ハビランドペラ装備機の機体のスピナはロートルペラ装備機とは異なる形状なので、本当はこれも作り直す必要があります。SWORD1/72のキットから取って来るのが良いかも。此方はスピナーが二種類とも入っている他、スピナーと一体になったワッツ二肢ペラのパーツもあるので困ることはありません。


<製 作>

 ずっと以前、まだコックピットの中が全く見えないと知らなかった頃にうっかり買ってきてしまったHi-Tech社のディティールアップパーツを使ってみました。全てレジン製でコックピット床+シート、サイドコンソールの他にラダーと自重変形タイヤが入っています。今回はコックピット回りのみ使いましたが、割といい感じです。しかし、背もたれの所につくシートベルトは何故かモールドされていません。これが一番目立つ(っつーか他は見えない)のに…。

 Mk.IIbと同様に後部胴体の羽布張り部との境界のラインを修正したほか、Mk.Iにするために外翼の両側2丁の機銃の薬莢排出口と上面のアクセスパネルのモールドを埋めています。

 プロペラは上記の通り、ジャブロ・ロートルペラを削った似非デ・ハヴィランドペラ。スピナは面倒なので放置です。スピナ直後の機種上面の出っ張りは、恒速プロペラ機構からの酷いオイル漏れを止めるためのフェンスなので、デ・ハヴィランドペラ装備機の場合は削り落としておくべきだったかも知れません。一応可変ピッチではあったので、フェンスがあった可能性も皆無ではないですが…。

 塗粧はAeromaster DecalのForeign Hurricanesにあった機体にしました。機体下面の黒白塗りわけはもともと1939〜1940に使われたRAFの味方識別標識の筈ですから、輸出機にも塗っているということは「ならば同志になれ」との意思表示なのかも知れません…が、まんまその上から枢軸軍識別標識の黄色が塗られちゃってます。上面は普通のダークアース/ダークグリーン迷彩なのでグンゼの特色そのままです。

 国籍標識は結構ややこしいんでデカールに頼るしかないんですが、白地の上に黄/青の十字を貼って、更にその上から赤丸をもう一枚貼るという面倒な構成でへこみました。印刷がずれるよりは良いけれど、もう少し楽に出来ないものか…でも貼ってみると恰好良いです。普段ラウンデルのハリケーンを見慣れていると、十字系のマークをつけたハリケーンはまた違った味わいがあって良いですね。


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