Hawker Hurricane Mk.IIc/trop ユーゴスラビア国家解放軍使用機




<実機について>

 ハリケーンMk.IIcは武装をイスパノ20mm機関砲4挺に強化したタイプで、Battle of Britainで7.7mm銃を幾ら揃えても効かないものは効かないという身も蓋もない現実に直面し、武装の強化を図ったものと言われています。尤も、Mk.Iに20mm機関砲を装備する実験自体は1940年5月に行われており、その際には重量増による速度の低下が問題として指摘されていますから、結局のところはBattle of Britainも終わって、制空戦闘機としては

そろそろ見切り時かもしんないね。

ということで、対地攻撃機として生きていくことも睨んで武装を強化したというのが真相ではないでしょうか。

リストラを見越して資格試験

と言う感じで、前向きな中にもちょっと切ないものがあります。

 有る意味、武装を強化すればするほど戦闘機としての命脈の尽きていった極東の某国の某主力艦上戦闘機と同じ道のりを辿ったわけですが、幸い某艦上戦闘機と違って後継機に恵まれたこともあり、時に

ハンス・マルセイユの餌*1)

呼ばわりされながらも対地攻撃機としてしぶとく活躍することになります。量産最終号機"THE LAST OF THE MANY"もこの型です。


Hawker Hurricane Mk.IIc
寸法諸元12.2×9.81×3.98m(W×L×H) 最大速度3,425kg
主機Rolls Royce Merlin XX (1,260HP) 最大速度531km/h
初飛行1941.2.6 最大航続距離740km
武装Hispano Mk.II 20mm機関砲×4

*1 「マルセイユ中尉は総撃墜数158機のうちハリケーンが53機と1/3を占め、彼のような天才エースにとっては格好の獲物にしか過ぎなかったようだ。」【(株)文林堂 世界の傑作機No.28 ホーカー・ハリケーン】だそうです。言われ放題ですな。


<キットについて>

 ハセガワ1/72のバリエーションのうち、ユーゴスラビアパルチザンの使用したMk.IIcについては、Mk.IIc「ユーゴスラビア空軍」なるそのまんまのキットが限定(と言ってもMk.IIcのキットでは一番多く見かける気がしますが。)商品として出ているので、これをそのまま使いました。Aeromaster DecalのForeign Hurricanesにも収録されていますが、ハセガワ版では主翼下面のラウンデルに星が被さっているのが、Foreign Hurricanesでは只のラウンデルになっています。どっちが本当かは…知りません。運用中に後から星を書き足した可能性もあります。

 塗装例としてコードレター◎O(LB888)、◎A(LD116)、◎E(KZ329)、◎T(KT800)、◎G(HB922)の5つが入っており、全機RAFの砂漠迷彩になっています。NOVJの飛行隊はいずれもアフリカで(おそらくはRAFのお古の機材で)開隊したそうなのでこの塗装は妥当かと思いますが、AJ-Pressの"Hawker Hurricane cz.2"によると◎O(LB888)はRAFの後期迷彩のような塗装なので、作る時期によっては塗色が変わっている可能性もあると思います。因みに同書によると◎O(LB888)はMk.IVらしいんですが…。


<製作&塗粧>

 コクピットにシートベルトを付けた以外は完全に素組で作りました。ハセガワMk.IIcのキットは一応何もしなくてもMk.IIcなのでまぁいいかなと。キットの合いは全般に良好なのですが、何故かトロピカルフィルタと機体の間で割と大きな隙間が出来ます。あとは後部胴体の継ぎ目を消すときに羽布張り表現をつぶさないようにちょっと気を使うくらいでしょうか。

 塗粧はインストの指示通りのパルチザン空軍仕様。基本塗装はRAFの砂漠迷彩です。国籍マークはややこしいのでデカールに頼ることにして、後部胴体の帯と翼前縁の黄色だけ塗装にしました。

 機体下面は定番のエイザーブルーですが、インストの指示に従って混色するとえらく鮮やかな水色になってしまいます。一応軍艦色(31)を気持ち多めにして彩度を落としたりもしたつもりなのですが…。当時は良く知らなかったので「ま、こんなもんかいな。」と塗ってしまいましたが、後日グンゼ産業からでた「WWII英空軍迷彩色セット」のエイザーブルーを見てひっくり返りました。尤もS.E.A.C.仕様のラウンデルの内円が実はエイザーブルーだということを考えると、「WWII英空軍迷彩色セット」の特色もなんか違うような気がします。

 下面色と上面色の間はマスキングテープをべた貼りし、上面の迷彩をエアブラシのフリーハンドで仕上げました。1/72でフリーハンドはボケ足が長くなりがちなのですが、

エアブラシが買えなかった少年時代のトラウマ

からボケ足は長いほうが正義だと思っているので本人は満足しています。デカールを張った後でグンゼのクリアとフラットベースを4対1で混色したものを吹いて艶を整えています。


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