North American F-51D エル・サルバドル空軍機




 中南米のマスタングの中で最も有名と思われるエル・サルバドル空軍。1969年のサッカー戦争でマスタングにとっての最後の空中戦を戦い、被墜を記録しているのが最大の理由でしょう。しかし、その実態についてはあまり知られていないのもまた事実でして…

http://home.att.net/~jbaugher1/p51_11.html
El Salvador purchased some Cavalier remanufactured Mustangs in the early 1960s. These were used operationally during the July 1969 "Soccer War" with Honduras. Eleven more standard F-51Ds were acquired from various sources in the USA.

http://www.diggerhistory.info/pages-air-support/ww2-allied/mustang.htm
El Salvador (FAS) acquired 17 Mustangs in 1968-9 and flew them until 1974 when many where sold to private US owners.

…どっちやねん(怒)

それでも何とか検索していたら、以下のようなリストが引っ掛ってきて概ねエル・サルバドル空軍のマスタングの全容がわかりました。最も、どこかのBBSの過去ログと思しく(つまりどこに投稿されたものかも判らない。)どの程度信を置いてよいものかはいささか疑問ですが…。有識者の皆様の訂正を待ちたいところです。

FAS#形式 S/N備考
FAS400Cavalier TF-51D 44-73458FAS404と2個イチ*1)
FAS401Cavalier Mustang II *2)74年に帰米*3)。N30FFとして登録。現TF-51D "Mad Max"
FAS402Cavalier Mustang II 44-107531969年以前に喪失
FAS402P-51D-25NA 44-73350もとN6176C。帰米後N33FFとして登録
FAS403Cavalier Mustang II 1968年10月退役
FAS404 44-73458FAS400と2個イチ。帰米後N4151Dとして登録*4)
FAS405Cavalier Mustang II 74年に帰米、N31FFとして登録
FAS406Cavalier 750*5) 44-73656もとN5073K。帰米後N32FFとして登録
FAS407P-51D 1969年7月17日の戦闘で被墜
FAS408P-51D-25NA 44-7369363までニカラグア空軍GN116。帰米後N35FFとして登録
FAS409P-51D-30NT 45-11559帰米後N34FFとして登録
FAS410P-51D-30NA 44-74923破損状態で帰米、N345 "Miss Ashley"となる
FAS411P-51D-20NA 44-7248363までニカラグア空軍GN85。*6)。74年帰米、N151DMとして登録
FAS412
-417
P-51D-25NA 44-73129もとN5480V
P-51D-25NA44-73273
P-51D-20NA44-73422 もとN103TL
P-51D-25NA44-73973 もとN6325T。帰米後N151DP
P-51D-30NA44-74960 もとN5459V
P-51D-25NT44-84857 FASへ空輸中に喪失?


*1) FAS404と2個イチされたの自体は1969年以降ですが、この機体自体はサッカー戦争には参加していないんだとか。大方その前から部品が揃わずにレストアされていたところへ、FAS404も壊れたということなんでしょう。
*2) 帰国後にN34FFとなるFAS409について、WEB上で"paperwork swap between N30FF and N34FF on return to US"、"Adopted id 44-11153"という記述があります。このFAS409の元のS/NがFAS401に帰国後に割り当てられた45-11559ですから、この44-11153がFAS401の本来のS/Nだったのではないかとは推測されますが、確証はありません。帰国後に44-11153を割り当てられたのはFAS410という説もあり、もう何が何やら…。
*3) 原文にreturn USAとしか書いていないのでとりあえづこう表記しています。返納なのか、直接アメリカの個人オーナーに売り飛ばしたのかはよく分かりません。
*4) 2個イチされた後の機体はどうやらこちら(FAS404)のS/Nを引き継いでいるようです。
*5) 別の資料ではテキサスでレーサーをやっていたことになっており、裏は取れていません。オリジナルのままならF-51D-25NAです。
*6) FASが取得したのは1969年に"with no paperwork"であったそうで、隣国との緊張状態を鑑みてあらゆる手段で飛行機を掻き集めていたのでしょう。因みにニカラグアから帰国直後のオーナーはFAS408と一緒なんですが、その後それぞれ異なるオーナーの手に移っており、1969年にエルサルバドルで再開したのは結構数奇な縁なのかも知れません。


<製 作>

 とりあえづタミヤのキットが気に入ったので、暫くはこいつを作ることに。しかし一筋縄で行くと思ったら大間違いなのでした。

 まず、デカールシートを見ると「このデカールの機体を作るときは、こんな風に改造してね。」と描かれた絵がついているんですが、これが良く分からない。どうも胴体タンクを取っ払って複座にしているっぽいんですが、説明も図も足りないんで、単に前席の防弾板を取っ払っているというだけの話にも見えます。そもそも上記の通りFAS409はただのP-51Dなんで大方現地改造で複座にしたということなんでしょう。インストに垂直安定板についての記述がないのも裏付けになります。(キャヴァリエ社で改造したものは垂直安定板がH型の大型のものになっていますから。)

 前置きが長くなりましたが、そんなわけで胴体燃料タンクを切り飛ばして床の穴をプラ板で塞ぎ、Pavla社から出ているレジン製のテキサン用シートを使って複座化。後席のスペースが狭いので、オリジナルのシートを防弾板を外して後席に回し、前席に前述のレジン製シートを使っています。

 デカールはウルグアイ機でも使ったAztec社製の“Latin American Mustangs I”なるシート。1969年のサッカー戦争で撃墜されたFAS407も作れますが、迷彩パターンが細かすぎて大変なのでもう一機のFAS409を選択。迷彩塗装は下面がFS26622、上面がFS34079、FS34102の2色、夫々がGSIクレオスの特色311、309、303、に対応しています。2色の緑に明度差を付けたかったので303番のみ同じくクレオスの(312)と混色。他はビン生です。先にベタ褒めしたAztecのデカールですが、ちょっと表面に艶がありすぎて半艶塗装とは馴染まないかも。最後にクリア掛けして艶を整えてやれば問題なしです。ともあれこれでウルグアイ機、ドミニカ機と併せてめでたく1シート使い切ることが出来ました…と思ったらドミニカ機をもう一機作れる構成なのか。


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