悍馬、海を渡る
- Mustang a Go! Go! -



 WWII期戦闘機の最高傑作との呼び声も高いノースアメリカンP-51マスタング。良好な空戦性能や長大な航続力を誇る一方、その機体の売りの一つは機体(エンジン除く)価格でP-47の半分以下という優れたコストパフォーマンスでした。
 戦後、多くのレシプロ戦闘機が急速に引退していく中、マスタングは対地攻撃機として、また発展途上国の軽戦闘機として重宝され、実に20ヶ国以上の国で、最後は1980年代に至るまで使用されたのでした。

<実機について>

 フォニー・ウォーの裏っ側で来るべき死闘に備えて欧州諸国が空軍の増強に必死になっていた1940年初頭のこと、戦闘機の不足に悩む英国がアメリカの新興メーカー、ノースアメリカン社に当時の新鋭戦闘機カーチスP-40のライセンス生産を依頼したのが全ての始まりでした。

あげなだっさい機体、なんでワシらが作らなあかんねん。

と(英語で)喝破したキンデルバーガー社長 (James H. Kindelberger) は代わりに120日以内に新規設計の戦闘機を完成させる傍目には無謀な契約を結んだばかりか、本当に102日後に社内名称NA-73なる新型機をロールアウトさせてしまいます。層流翼を初めとする新機軸をふんだんに取り入れたNA-73は良好な性能を示し、首尾良く英国空軍にMustang Iとして採用されまが、主機のアリソンV-1710-39エンジンには高高度での出力低下が著しい問題があり、合衆国陸軍では当初攻撃機A-36Aとして採用したに留まりました。(後にP-51Aとしても採用されますが、B型の導入により少数の装備に留まります。)

 しかし、高高度性能の優れた液冷エンジンならば、イギリスには十分な実績のあるロールスロイス・マーリンエンジンがあるわけで、早速マーリンを搭載したMustang Xを試作。これが良好な性能を示したために本格的なマーリン搭載型の開発が行われ、期待に違わぬ性能でP-51Bとして採用されたのでした。因みにC型は新設されたダラス工場の生産型で、基本的にB型と同じとか。というか、私はどこが違うのか全く知りません。

 数あるサブタイプのうち最も有名なD型はファストバックのB/C型を涙滴型風防に改修したもの。方向安定性を補うドーサルフィンが追加されたり、機銃が6挺に増強されたり、燃料タンクが追加されたりもしています。特筆すべきは燃料の増加による長大な航続距離で、これによりP-51Dは大戦末期の侵攻作戦に欠かせない機体となっていったのでした。その後、機体の軽量化を目指した改造型もいくつか作られ最終的にH型として結実しますが、大戦の終結に伴って生産は少数に終わりました。

 WWIIが終わってもマスタングは朝鮮戦争で対地攻撃機として使用され、また各国へ輸出されたり、民間のオーナーが所有したりと活躍を続けました。60年代に至ってもビジネス用や軽対地攻撃機用の派生型が開発されたりしています。流石に軍用の機体は無いものの、今なおエアレースなどでは活躍を続けています。

 マスタングは大戦期のレシプロ戦闘機としては異例の長さに渡って使用され、おかげで現在でも結構な機体がフライアブルであったりレーサーとして活躍したりしている一方、苦手な対地攻撃で苦労したり第三世界で

わけのわからん戦争に巻き込まれたり、コルセアに墜とされたり

とそれなりにえらい目にもあっています。脂の乗った時期にやりたい放題の活躍をしてさっさと引退したF6Fあたりと比べてどっちが幸せかは微妙なところですが、そういった経歴もまた、マスタングを世界の名機の中でも1,2を争う存在にするのに一役買っているのでしょう。


<キットについて>

 もう大昔から色々とキットが出回っているP-51。とりあえづ、国内で容易に入手できる…というか、ぶっちゃけ自分が買ったことのあるもののみの紹介となっております。リンクから独断と偏見に基づくキット評に飛ぶことが出来ますが、評価は5段階で極めて適当につけています。

 で、これまた結局何がええねんという話になっちゃうんですが、これがまた何とも…。A〜C型ならアカデミー、D型ならタミヤが作りやすいし見栄えもする筈なんですが、いざ組んでみるとやっぱりハセガワが恰好いいかもとか私的には思うわけで、でもモールドはシャープじゃないし、ペラの固定は弱いし、脚納庫浅いし…とかなるわけで、結局、

私も悩んでるわけです。誰か助けてください。いやマジで。

ハセガワ P-51B、P-51C、P-51D
アカデミー P-51B、P-51C、P-51D
タミヤP-51D、F-51D
イタレリMustang I



--- CONTENTS ---

○中南米編
P-51D/ウルグアイ空軍
P-51D / Uruguayan Air Force
P-51C/ドミニカ共和国空軍
P-51C / Dominica Air Force
04.02.01掲載 04.02.01掲載
P-51D/コスタリカ空軍
P-51D / Costa Rica Air Force
P-51D/エル・サルバドル空軍
P-51D / El Salvador Air Force
04.02.01掲載 04.07.20掲載
P-51D/グアテマラ空軍
P-51D / Guatemara Air Force
P-51D/ニカラグア空軍
P-51D / Nicaragua Air Force
04.07.20掲載 08.12.31掲載
○アジア・太平洋編
P-51B/オーストラリア空軍
P-51B / Royal Australian Air Force
05.08.15掲載
○欧州編
P-51B/スイス空軍
P-51B / Swiss Air Force
08.12.31掲載

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