1/72ホーカー・ハリケーンキット紹介

○ハセガワ Mk.I後期、Mk.IIb、Mk.IIc、Mk.IId外形:4 モールド:3 付属品:2 組み易さ:4
 入手のし易さ、作りやすさも考えたらやはりお勧めはこれでしょう。というか、私は殆どこればっかり作ってるわけですが…。このキットは機首、プロペラ、主翼等の部品替えによりMk.I(後期)、Mk.IIb、Mk.IIc、Mk.IIdのバリエーションが出ています。キットについては組み立て易さ、プロポーション共問題ないものの、機体後部の羽布張り表現がきつすぎるというのが定説のようです。私的には1/72というスケールでぱっと見で羽布張り表現が判るようにアピールしようとするとこのくらいあっても良いんじゃないかとは思いますが、それでもデカールが谷のところで浮いたり、山のところで割れたりするとやっぱり悲しいものがあります。脚納庫やモールドも適度に手が抜かれていますが、まぁ最大公約数的にはこんなものじゃないでしょうか。

 ハセガワ1/72のハリケーンは今のところ全てカタログ落ち状態ですが、店頭在庫は存分にあるようですし、各サブタイプの店頭在庫が見られなくなる頃に適当な限定品がリリースされてくるところを見ると、店頭在庫を見ながら限定品で繋いでいく予定なのではないでしょうか。機体だけなら当分は入手に困ることはないのではないかと思っています。

 但し、バリエーションは上記の通りなので、Mk.Iの初期型を作ろうと思うとSWORDのキットのお世話にならざるを得ません。あと、1/72では出ていないIV型も欲しいところです。っつーか、ハセガワ1/72のキットはラジエーターのみ単独のランナー枠になっているので、開発時にはIV型も出す気満々だった筈なのですが。
○レベル Mk.IIb、Mk.IIc/trop、Sea Hurricane Mk.IIc外形:4 モールド:4 付属品:4 組み易さ:4
 上記の通りMk.IIbとSea Hurricane Mk.IIc、そしてMk.IIc/tropの3種類が出ています。最大の特徴は後部胴体下面が別パーツになっていることで、これにより着艦フックを増設したSea Hurricaneとのコンパチを可能にしています。え?フックがちゃっちい?まぁ気にせずいきましょう。一方で機体は機首まで一体ですから、ハセガワのようなMk.Iとの互換はありません。トロピカルフィルタはハセガワのように機首に切り欠きがあるわけではなく、通常型の機首下面にポン付けするだけですから、Mk.IIc/tropを買ってくれば普通にMk.IIcも組めます。フックのない後部胴体下面と爆装が同じランナー枠だったりするので、Sea Hurricane Mk.IIbは出せないような気がしますが…。

 キットはレベルの割に端正な凹モールドでハセガワに遜色なし。Mk.IIcの20mm銃が別パーツになっているのもありがちな製作中の損傷を防ぐのによさげ。ただ、ハセガワと比べるとコックピットの幅が広く、ために風防の形が結構異なるのが気になります。また、主翼下面がなるべく共通パーツを増やすために3分割になっているのもちょっと不安材料。組む時には下翼に段差が出来ないよう、注意して組む必要があります。翼弦長もちょっとだけ(1〜2mm?)長いかも。一方で、Mk.IIbには爆装と増槽がちゃんとついてくるのは高く評価したいところ。昭和20年の福生飛行場に佇むMk.IIbが箱の中身だけで再現できちゃうんですよ、奥さん。
○AirFix Mk.I後期外形:3 モールド:2 付属品:2 組み易さ:3
 Mk.I後期とMk.IIbのコンパチと言われる旧キットは未入手なので、Mk.I後期についてのみ。モールドは凸です。それは置くとしても、プロポーション的に機首の細さが気になります。微妙な差ではあるんですが妙に弱っちく見えて、とてもこの中に世界最強の発動機が入っているとは思えません。また主翼前縁の形状も変。妙に角張っています。成型しようとすると凸モールドがごっそり消えるのもつらいところ。あと、ハリケーンはスピナーの塗色が良いアクセントになっているケースが多いので、スピナーとプロペラブレードの一体成型もちょっと。因みに後期のロートル定速ペラモデルのみです。
○SWORD Mk.I初期型外形:4 モールド:3 付属品:5 組み易さ:2
 簡易インジェクションとは言え、1/72では唯一の羽布張り主翼のMk.I前期型。早々に店頭から消え去ったところを見ると、前期型を待ち望んでいた全国のハリケーンファンが一斉に襲い掛かって大人買いしたものと思われます。ええ、当然ウチにも眠っていますとも。

 レジン製の精密なコックピットがついていたり、後部機体下部の安定ヒレが別パーツになっていたり、プロペラがワッツ2肢、デ・ハビランド3肢、ロートル3肢の3種類が全部入っていて、スピナーもそれぞれ専用の物がついていたり、デカールはユーゴスラビア空軍も入っていたりともう痒いところに手が届きまくりの好キットなんですが、如何せん製造技術が追いついていなかったのが痛いところ。組上げるには些か難物のようです。翼胴分割のやり方がハセガワ製と近いので2個1するのも手かも。但し羽布張り表現のきつさが全然違うので違和感満開になる可能性も大です。
○アカデミー Mk.IIc外形:3 モールド:4 付属品:3 組み易さ:4
 ハセガワのMk.IIcと同様の印象ながら、機体後部の羽布張り表現が若干抑えられていたり、モールドがちょっと追加されていたり、コックピットが若干精密になっていたりと、つまりはアカデミーらしいキットです。未購入で店頭で見ただけの人間が言うのも如何なものかとも思いますが、/tropに出来ない癖にトロピカルフィルタ装着を意識したパーツ割が残っていたり、プロペラが左右胴体の接着時に挟みこむ形式に退化していたりといった点が頂けません。

 当然自分で組んで確認したわけではないのですが、難点として後部胴体の左右幅が異常に狭いとの事。"modeler's datafile 2 The HAWKER HURRICANE"では間にプラ版を挟んで接着して、キャノピーは別売りのものとか使うと良いんではないかな、との指摘がなされています。
○Omega model Mk.II改造複座練習機他外形:3 モールド:3 付属品:3 組み易さ:3
 オメガモデルは特にロシア、北欧辺りで使われた初期の複葉機に無類の拘りを見せるフルレジンキットメーカーですが、何故かハリケーンの変態試作機も色々キット化しています。今のところカタログにあるのはソ連の改造複座練習機、Asch-82空冷エンジン換装型、ハーキュリーズ空冷エンジン換装型、DB601換装型、水上機型などいかにも通好みの変態っぷり。初期のものは結構辛い出来だったりしますが、最近のものはかなり出来が良く、バリを落としてしまえば特に切ったり削ったりしなくとも翼胴がぴたりと合います。レジンですから若干造形が甘かったりするところはありますし、そもそも実在したのかも微妙なものもありますが、普通のハリケーンで飽き足らなくなった重症の方にはお奨め。

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